家を手放す#03 ローン返済が厳しいので。

結婚して5年目に念願の新築マイホームを建てました。あの頃、景気も良かったから、家を売るなんて想像もしていなかった。

転職につまづいて

リーマンショックの煽りを受けて、勤務先が倒産、余儀なく転職をする事になりました。3ヶ月くらいは失業保険などで何とかなりましたが、子供の教育費などもかさんでいた為、貯金を切り崩して生活。妻のパート収入だけでは成り立たないんだろうな、って薄々感じていた半年です。今思い起こせば、自分のキャリアに自信があったのがいけなかった、転職というハードルがもうすぐ50歳の私にはとても高かったんです。

結局、異業種で給料は前職の半分となりましたが、仕事が見つかりました。就職できただけで、これから先なんとかなる、という安心感があったのです。


ローン返済の見通しが立たない

しかし、中小企業に吹く風当たりは半端無かった、見込んでいた給料も上がらず、脳内はいつもお金のことばかりになっていました。妻もそうだと思います。

二人の子供は中学生になってから一層お金がかかりました。妻が夜のファミレスで仕事をする事になった時、夫婦で泣きました。それでも今までの生活をなんとか維持する毎日。「お金がない、お金がない」と口に出しているので家庭がギシギシ音を立てていました。外から見れば10年前と変わらない<仲良し家族>かもしれませんが、毎月ローンの引き落としに入れるお金がないと、クレジットカードからキャッシングして引き落とし口座に振替入金。

このままじゃ壊れる。

妻にそう伝え、生活のリセットを決めました。

車を売却し、親としてとても恥ずかしかったのですが、子供には携帯代は自分のバイトで払うようお願いしました。それでも子供を私学から公立には転校させませんでした。

そして、家を売る事も決心したのです。



急ぎたいのに、家が売れない

家を売る、と決めたら自分でもびっくりする程行動が早かった。購入した不動産業者のほかに大手不動産業者など3社の不動産業者に相談し、自分にとって一番得だと思う条件のところに売却の依頼をしました。

売却価格はローン完済できる金額にしたのですが、それではダメなんです。査定額は自分が思っている金額より1000万円ほど安くなってしまいました。

でも売れないのです。

見に来る不動産業者、一般の人もいました。最初のひと月で6人来ました。若い夫婦から300万円も値切りも言われましたが、さすがに「無理です」と即答しました。今思えば値引きしがほうがよかったのかな、という後悔もあります。

そして広告が出て1ヶ月もするとだんだん見に来る人も減りました。

印象のいい家となるように、掃除もしたし、笑顔で見せたし、何が悪かったのだろう。やはりネックは金額なのかもしれない、と毎日眠れませんでした。

子供も高校生くらいになると理解ができます。親としての威厳はなくなりましたが、愛情ある言葉をいつもかけ、家族が不仲になることはありませんでした。それだけが救いです。


手元にお金がないと移り住むところがない

もしも家が売れたとしても、4人が住める家が必要です。民間の賃貸でも4人が暮らすには敷金や礼金のほか引越代も必要となるので、どうしても手元にお金が必要です。横浜市内の駅から徒歩15分以上であっても月額10万円の家だと、敷金・礼金・前家賃・手数料・保険・引越代など合わせて少なくても60万円くらいは必要でした。田舎の老いた親に相談するにも気が引けました。両親はもう80歳にもなろうとしてましたから。四面楚歌です。

世の中、お金がないと何もできない。わかっていたけれど現実を目の前に叩き付けられました。それでも時間がすぎました。


ひとまず、実家に身を寄せました

4ヶ月後、少し値引き、家は売却できました。一部残債はありますがローン返済の見込みができ、あの苦しい地獄のような日々から抜け出せました。

そして、ひとまずは家族で栃木県の実家に移り住むことになりました。老親が骨折したのがきっかけです。子供は公立の中学と高校へ通う事になりました。子供には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。が、脳内を占めていたお金の悩みはだいぶ減りストレスがなくなりました。こんなに楽になるとは思っていませんでした。

仕事もUターン就職で夫婦共々職を見つける事ができました。人生リセットです。


家を買うとき、頭金は300万円、残りを35年返済ローンを組みましたが、あのとき頭金をもっと準備してマイホームを買っていたら・・・と反省しきりです。何をいっても今更時間は戻せませんが。

(横浜市から栃木県鹿沼市に移住・男性)


DATA

物件住所   横浜市港南区

販売価格   3,300万円

構造     木造2階建て

築年月    2003年3月


<私的つぶやき>

私が経験上思っている事=家を買うとき、自己資金がないと後々苦労する、ということ。

未来は誰にもわかりませんが、余裕を持って資金計算をしたほうが身のためとなることが多いんです。

子供が小さいと音を気にして一戸建てを検討する人も少なくないのですが、子供は成長しいずれ静かになります。住む環境は子供の学校よりも将来展望を重視し見据えた方が確かだと思っています。

頭金0円でも買える!という物件があっても、将来を考え、慎重に納得できる答えをだしてから大きな買い物をすると良い、といつも思っています。

不動産じかん

家が欲しくなったとき、家を手放すことになったとき、不動産に関わる様々なお役立ちコンテンツを自身の経験からご紹介するお役立ちコンテンツ集です。